「無印良品は仕組みが9割」 無印良品会長 松井忠三著 角川書店刊 を読みレポートをまとめました。」

興味のある方は是非一読し本編を読む事お勧めします。素晴らしい組織を成功へ導く実践の為の具体的な指南書です。

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無印良品の世界観、ブランドイメージの構築、いつも注目して見ていました。MUJIGRAM、業務基準書の2種類のマニュアルを毎月更新する事を現在も続けているそうです。生きたマニュアルの更新を通してスタッフ達の当事者意識、責任感、誇りがより一層高まっていく。

目からウロコとは、この事です。
超〜お勧めです。見過ごしている事だらけの気付きを沢山頂戴しました。ありがとうございます。

 

 

「無印良品は仕組みが9割」
(仕事はシンプルにやりなさい)
良品計画会長 松井忠三著(角川書店刊)を読んで

無印良品のスタートは77年10月、西友がそれまでのPB商品を充実させるべく「SEIYU LINE」をPBの総合ブランドして取り扱うことを決定した。その際に英語のノーブランドグッズ(no brand goods)を和訳した「無印良品」をブランド名とし、西友のほか、西武百貨店や阪神百貨店内のインショップ、加えてファミリーマート等で販売が開始した。1989年6月には、西友の100%子会社として(株)良品計画が設立され本書の著者、松井忠三氏は筑波大学から現在の西友に入社し、92年から良品計画に総務部長として移動、事業部長を経て2001年より社長に就任する。37億円の赤字の組織をその「風土」から改革させ、業績のV字回復を果たし右肩上がりの奇跡の成長を実現した。

本書は松井氏が2007年には、過去最高売り上げ1620億を達成するなどの経営手腕を発揮した過程で、実践してきた「努力」を「成果」に直結させた。その「仕組みつくり」を解き明かすものである。出版の趣旨はかつて2001年度には、ディスカウンターの台頭等によって衣料品等が不振で業績が悪化し不振にあえいだ株式会社良品計画(以後、無印良品と記す)の業績回復に至った事例からその手法を明かす事。日本におけるビジネスのそれぞれの現場でその業務について悩む「チーム・リーダー」たちの助けとする。彼らが「努力を成果に結びつける仕組み」の作り方を知る事で日本の企業を元気にし、ひいては日本経済の復活に、つなげたいとの思いからである。

無印良品には2000ページの2種類のマニュアルがある。店舗で使っているマニュアル、MUJⅠGRAMと、店舗開発部や企画室など本部業務をマニュアル化した「業務基準書」の2種類である。松井氏はマニュアルを「仕事の原点である」と定めてその開発に力を注ぎ続けた。それは会長になった今現在も続けられている。それこそが生きたマニュアルであるとの所縁である。MUJIGRAMは12項目、業務基準書は9項目から成る。「チームの実行力を高める為」に全てのマニュアルの冒頭で仕事の「意味、目的」を定義付け全ての業務をマニュアル化する事は可能であると位置づけている。2つのマニュアルは「何のためその作業を行うのか」、「どのように行動するのか」、「何を実現するか」「どう働くか」との視点から仕事しての軸と定めている。その為に以下に記す4つの要点で本日現在も毎月更新され続ける。
1つ目は、全てのことを標準化する事を求めている。色の解説やディスプレイのシルエットでさえ図で示す等で個人の価値観やセンスに頼りがちで標準化が難しいと言われるマネキンディスプレイ等についてもしかり。全ての業務を標準化して新入社員が初めて見ても実践できるマニュアル作りを続けて標準化している。
2つ目は商品名をどうつけるかで企業理念が表れる。その為に商品名とコピーの作り方も決めている。正直なものを正直に説明する。飾り立てない。等々。その結果は無印良品らしい世界観がお客様に訴求される。
3つ目は仕事の効率を上げる仕組みつくる事である。例えば商談して名刺を交換したら内容の全ては報告シートに纏められ部内で共有させる。誰でも引き継げるように処理させる。引き継ぎのロスを無くし、かける手間、時間を最適化させる。
4つ目に勝ち続ける仕組みをつくることを求めている。店舗開発に於いても、出店候補地評価マニュアルを作り、マーケット評価、商業施設評価、店舗評価について約20項目をSからFまでの7段階の評価基準を定めて評価点がC以下の候補地には出店しない。これによって、開発担当者の経験、印象や勘に頼らず、誰でも等しく一定の評価が出来る仕組みを作っている。
そして、マニュアル作成、更新はそれぞれの現場での経験から出てくるニーズで現場が作りそのマネージャーが責任を持って申請する事が原則である。一般的に良く耳にするケースで、本部がマニュアルを作って現場にそぐわないマニュアルが生かされないなどと言うロスは無印良品ではは起きない。マニュアルが毎月更新される効果は計り知れない。現場でスタッフは自己の業務に於いての改善点を常に探しながら働くことを習慣化しているのだ。常に当事者として問題意識を持つのである。
2つのマニュアルは無印の血管である。成長し続けることが企業存続のキーワードであるが正に無印良品は常に停滞せずに血が通う。常に成長を止めないその仕組みを作った。

最も印象に残ったのは、仕事の期日「デッドライン」を決めて守る事である。常識であるとわかっている事ではあるが、その実践は日々の膨大な業務の中で曖昧で見過ごされ確認が疎かになりがちである。
又提案書をA4一枚で纏める事である。如何にもプロジェクトをシート化する際に余計な装飾をしがちであったかを見返る機会となった。さも、資料の多さを競うがごとく、プロジェクトの本来の姿から大きく盛る事を目的にしてしまう風潮を感じる。しかし、本質を見極め切り取り最も重要なポイントを絞ってこそ優良なプロジェクトが生まれ、その最適な実践が為せるはずである。
松井氏による、日本経済の活性化させたいとの高い志を受け止めて何としても、今後の弛まない企業の成長の機会を与えられたと受け止めて、その実行に邁進したい。