「アクアアカデミー特別幹部研修第1講は、安孫子 薫先生より、先生ご自身が東京ディズニーランドの開業前から携わり27年間の在職中の貴重で多様な現場での経験に基づいた、此処だけの話をとても解り易くご講義していただきました。」

報知新聞社にお勤めだった29歳の時、家庭がある中で、以前フロリダのディズニーランドを訪ねた事もあり、ここだ!との強い思いから一念発起して転職した時は周囲の猛烈な反対の中での事だったそうです。

今でこそディズニーランドは千客万来で大成功したビジネスモデルですが、当時は果たして、どのようになって行くのか前例のない計画で、私自身が当時耳にした街の噂では、万一失敗しても、宅地開発して投資した物は回収する出口が有ると言った様なモノも有りました。また、オープン日の来場者数は7000名と本国のディズニーランドのオープンでは、3万人の招待客に、対して7~8万人もの入場者が有ったのとは全く劣るものだった様です。その後多くのアトラクションの増設やリニューアルを繰り返し現在は連日多くのご来場があり、1日86000人、昨年は3137万人、開業よりの総来場者数の累計は32年間で6億5000万人になったそうです。

その様な安孫子先生の転職ではありましたが、立上げ前からアメリカ本国のフロリダ・ディズニーランドで数ヶ月研修を受けてウォルト・ディズニーのフィロソフィー、ホスピタリティの真髄を学び、又、お客様すなわち「ゲストであるファン」の感動を如何にもたらす事が出来るのか、最も大切と言われるクレンリネスの徹底などについての基本を学んでの立上げオープン1983年4月現場からのスタートだったそうです。

先生の、貴重なご経験から発せられる一言一言はとても重みがあり説得力もあり、又ユーモアも交えてお話しして下さり、聴衆である私たちはどんどん引き込まれ、とても楽しく聞く事が出来ました。

特にフードビジネスに携わる私達にとって多くの課題が提起され、自分たちの日頃の業務について、問い正され省みる機会を与えられました。

全てに於いて必要な事は物事の取り組む姿勢が能動的である事であり、何事も取り組む以上は自らの責任感を強く持って挑む事であると改めて確認しました。

強い当事者意識を持つ事、物事を自分の責任として考える習慣を持つ事こそ自分の人生を切り開くキーワードであるという事に他なりません。

現在のディズニーランドはキャスト=スタッフは2万人その内85%がパートアルバイトであり、その内の半分が学生との事です。

私達が最も重要だと位置付け、日々その獲得へのタスクを掲げている「リピート率」は実に95%以上であり、そのディズニーブランディングはしっかりとお客様の意識の中に入り込んでいます。

ディズニーランドは永遠に完成しない。常に最適化に向けてイノベーションをし続けています。

ディズニーの世界観は「ディズニーテーマショー」により表現されます。アトラクション、スーベニール(お土産)グッズ、飲食商品、BGM、植栽、匂い、キャストのコスチュームなどを通して、創造性豊かなキャスト達の表現力やそのモチベーションの高さの裏付けとも言える形でお客様の五感に伝えられます。

水飲み場や手を洗うスペース・(ハンドウォッシングエリア)で用意された手洗いソープが、ミッキーの形で泡が出てきたり、洗面台2台が親子で顔を見合わせながら手が洗える様に角度と高さを変えて造り付けられています。

顧客はその全てのディズニーの世界観を通してディズニーの魅力に酔いしれ、その意識の中に感動を刻み込み、刷り込まれてディズニーランドでの実体験を通してファンになります。

パレードや花火が提供されるディズニーランド、そのスタンダードは赤ちゃんがハイハイできる位安全で、綺麗に、整えられて提供されます。

そのパークの中での体験により、依り深い感動を呼び、その貴重な体験を、ゆったりとした友人や家族、恋人などの大切な人たちと共に過ごす時間を通して一層深い感動となりリピーター率95%が実現するという事です。

東京オリンピック招致のプレゼンテーションで滝川クリステルさんが世界に向けて発信した「お・も・て・な・し」のキーワードで述べられた4つのテーマの優先順位がSCSE=SEFETY(安全)、COURTESY(礼義正しさ)、SHOW(最高のショー、体験の提供)、EFFICIENCY(無理、無駄の無い効果的な運営)、として、ディズニーキャストの「ミッション」であると定義されています。

滝川さんはその中で、
1.東京は世界一安全な都市です。
2.人々は礼義正しく、タクシードライバーはとても親切です。
3.街中は清潔で美し繰り返し整えられています。
4.バスや電車などの公共交通機関は正確で遅れませんと、言いました。

滝川さんの手振りを交えての「お・も・て・な・し」のメッセージが込められたプレゼンテーションはとても印象深く感動しましたが見事にディズニーのキャスト行動基準SCSEと見事に同じ意を持つものでした。

「おもてなし」とは、単なる挨拶をするとか、笑顔で対応する事で満たされるものでは無く、多様で注意深い配慮、心遣い、真心、ホスピタリティなどの総合力を以って為される究極のサービスに他ならない事を、全キャスト、スタッフが真摯に受け止める様に教育し、そのスタンダードを理解し実践する事で夢の国の世界観が表現されるのです。

「WE CREATE HAPPINESS」キャスト達はハピネスの提供により、「ゲストであるファン」のお客様に驚きや喜び、その思い出作りに真の働きがいを覚え
更なるモチベーションの高揚と維持を続けます。

キャストがそのミッションと行動基準を共有し、一人ひとりが自発的に行動する事で実現されます。

そのハピネスを提供する為にいつも綺麗である事が大きな価値となります。

「毎日が初演」と位置付けて、日々是新。その為にクレンリネスが最重要であると定義付けられます。

全ては「赤ちゃんがハイハイできる位安全で清潔なパークの提供」と、定義付けらた「カストーディアル・ホウキを持った清掃スタッフ」に依って使命の遂行が自発的に15分、45分サイクルで繰り返されます。

1983年当時、私もオープン間も無いディズニーランドに行った際のホウキをリズミカルに動かしながらの誇らしげな「カストーディアル」のパフォーマンスにとても感動した事を思い出します。

「やる気にさせるプラスストローク」を追求し、キャストの持てる力、可能性を引き出し、夢の国を自らの能動的な行動で創っていくと言ったモチベーションの喚起その全てが、最適化されて生かされています。

名刺大の「5スターカード」を与える事でその功績について評価し、それを集める事でご褒美を受けられるなど多くの仕組みにより、モチベーションの向上を、図ります。

そのどれもがキャストの可能性を大きく引き出しています。

アクアの掲げた第15期、中期経営計画の達成に向けての課題でありました、「2020年東京オリンピックの年、株式会社アクアをCSとESを両輪として、全スタッフによるアクア3種の神器の実践に依って完成させる」その時点でのスタート時点は更なる高い到達点となりアクアの成長は永遠に続くものである。という事です。

安孫子先生に於かれましては、とても無理なお願いを致しましたところ、私の意を汲んで頂き、大変貴重な長年の経験からの実話に基づきた興味深いお話をとても分かり易く紐解いて頂き、アクアの社員達に大きな成長の機会として、与えて下った事を心から御礼申し上げます。

限られた時間の中でまだまだ聞ききれず、とても悔やまれますが是非さらに学び続けディズニーの世界観について多くを学び得て参りたいと存じます。

安孫子先生がこれからも御健康でいらっしゃいます様に、益々のご発展をなさいます様に、又、弊社の様な未熟で沢山の課題に取り組む組織等についてのご教授、ご指導を重ねられ、大きな成長の機会をお与え続けてくださる事を心よりお願い申し上げます。

本当にありがとうございました。

また、の機会に再度ご訪問頂けますよう、重ねてお願い申し上げます。